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熱海の土石流災害
『避難指示は難しい』

コラム

熱海の災害に関して、「避難指示の出し遅れ」が指摘されている。土砂災害が起きる度に繰り返される議論だが、避難指示を出す側(自治体)からすると、極めて難しい判断である。


結果論からすれば、なぜ事前に指示を出せなかった、という気持ちは十分にわかる。だが、ピンポイントで予測は不可能だ。危険区域は指定されているし、雨の降る期間も大体わかるから、危険であることは間違いない。


ただ、この原則論に基づき避難指示を出すのであれば、今回大きな被害のなかった掛川市ですら、3日間の間、市内全域に避難指示を出さなければならなかったかもしれない。

膨大な土砂災害危険箇所

そのくらい、通常の市町村でも數十箇所の、多ければ数百箇所の土砂災害警戒区域を抱えている。なにしろ、静岡県内だけでも10,000箇所が指定されているのだ。(区域周辺に住宅地が密集しているかどうかの違いは別として)だから、自治体側はオオカミ少年になるかどうかにいつも怯えながら避難指示を出している。

避難指示の一本化の影響

それに加え、少し前に「避難勧告」がなくなり「避難指示」に一本化された。原則論ではこれまでの勧告の場面で指示を出すことになるのだが、行政としては勧告と指示は大違いなので、躊躇なく指示を出せるのか。逡巡してもおかしくない。


いずれにせよ、住まいの地域のハザードマップをすべての住民が頭に入れておくことが大事である。そして、避難情報があってもなくても危険エリアに住んでいる人は安全な場所に逃げるべきである。自治体の責任を回避するわけではないが、危険箇所であっても災害の発生をピンポイントで予測できない以上、それが最良の選択だ。


それでも、度重なる災害の経験を経て、自治体の出す避難情報は以前より格段に早くなっているし、空振りを恐れず出すようになってきている。被害がこれ以上出ないことを望みます。

掛川市から熱海市への消防隊派遣

被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
熱海市での土石流の災害を受け、掛川市の消防車両と隊員2名を、災害が発生した7月3日の午後から同市に派遣いたしました。

翌4日には熱海に災害派遣した隊員からの情報が届き、沼津をはじめ東部の市町ではそれぞれの被災のため熱海への応援隊数が少ない状況と聞きました。


したがって、掛川市では明朝5時に4名の消防隊員を追加派遣することとしました。先に派遣した2名も含め、明日からは6名体制で災害応援活動をしていきます。


掛川市内は大雨警報が発令されましたが、人的被害に直結するような大きな被害報告はありませんでした。

全国からの応援派遣のご協力によりこれまで19名が救出されたと聞いています。救助の限界とされる72時間以内に、一人でも多くを救えますように。隊員の皆さん、どうかよろしくお願いします!