令和3年6月市議会定例会『所信表明』
政 策
本日から6月定例会が開会しました。冒頭に所信表明を述べさせて頂きました。
市政運営の基本姿勢
はじめに、私の市政運営の基本姿勢について、述べさせていただきます。
今、我が国は、かつてないスピードで変化をしております。
新型コロナウイルスの蔓延によって、リモート化やデジタル化が急速に進み、以前にも増して、膨大な情報が駆け巡り、新しい価値を生み出していく時代となりました。
一方で、本格的な人口減少社会となり、地球温暖化などの対応も、待ったなしの状況となっています。
こうした変化の激しい時代にあって、私たちは、その変化にしっかりと対応し、持続可能なまちづくりをしていく必要があります。
このことは、掛川市にとって、良い方向へ変わっていくチャンスであると考えています。
今まさに、掛川市が次の新しいステージへ踏み出すときであり、すべての市民がいきいきと暮らせる掛川市をつくっていく決意であります。
3つの政治姿勢
私は、市政運営にあたり、3つの政治姿勢をもって、対応してまいります。
一つ目は、「対話重視」であります。
掛川市は、これまで生涯学習や協働のまちづくりを進めてきました。これらのまちづくりは、市民、事業者と掛川市を一体化させ、様々な施策や事業の推進に効果を発揮してきました。私も、これらのまちづくりを推進していくことに変わりはありません。
しかしながら、一部に硬直化した部分もみられ、議論が深まっていないこともあります。互いの状況や思いを率直に知るため、本音の対話で議論ができる意見交換会などの機会を増やし、地区集会の開催方法を工夫するなど、対話重視の行政運営を行ってまいります。
二つ目は、「未来志向」であります。
社会の変化に対応していくためには、未来を描き、先手を打って行動していくことが大切となります。
私が副市長を務めていた一昨年、総合計画の策定に際して、将来ビジョン検討会を設置し、自動運転や未来のテクノロジーについて、積極的に検討いたしました。
このような新しい考え方や感覚を取り入れ、人工知能などのテクノロジーや情報化を積極的に活用するなど、将来を見据えた行政運営を行ってまいります。
三つ目は、「柔軟思考」であります。
現在の激動する時代に対応していくためには、物事を柔軟に考え、積極的にチャレンジしていくことが重要となります。
固定観念や既存の手法に縛られず、物事を多面的にみたり、ときには新しいやり方を試すことも必要です。
時代や社会の状況を的確に捉えながら、臨機応変に対応し、柔軟思考で行政運営を行ってまいります。
喫緊の課題 新型コロナウイルス対策
次に、喫緊の課題である、新型コロナウイルス対策について、申し上げます。
この感染症については、世界規模での蔓延が続いており、様々な変異種が生まれるなど、依然として予断を許さない状況となっています。
対策の切り札となるワクチン接種について、高齢者へのワクチン接種が進んでいます。先日、静岡県から発表のあった県運営の集団接種に加えて、医師会のさらなるご協力、中東遠総合医療センターのご協力により、高齢者の接種については、7月末完了の目処が立ちました。加えて、予約を円滑にするため、相談窓口の設置、中学生や市民ボランティアによる支援を進めてまいります。
また、コロナ禍での生活支援や経済対策も重要な課題となります。
今回、掛川市は、独自に低所得のひとり親世帯に子ども一人あたり5万円を給付する事業や、掛川市の公式LINE登録者に抽選で地域特産品を贈呈する事業などを予算化いたしました。
引き続き、ワクチン接種の促進を図るとともに、生活支援や地域経済の回復を図る施策を展開してまいります。
東京一極集中から地方分散への対応
次に、東京一極集中から地方分散への対応について、申し上げます。
新型コロナウイルスによって、人口が過度に密集している大都市のリスクが浮き彫りとなり、地方分散の流れが生まれてきています。
広域交通の利便性など掛川市の高いポテンシャルを活かして、地方分散の受け皿づくりを進めてまいります。
大坂・土方工業用地の造成を進めるほか、未来型産業の誘致を目指し上西郷地区整備推進事業や新エコポリス第3期事業などを推進してまいります。
また、移住拠点の整備、サテライトオフィス支援、地方分散の動きを受けた都市づくりについても調査してまいります。
人にやさしいデジタル化
次に、人にやさしいデジタル化について、申し上げます。
アフターコロナの新時代を見据える中で、デジタル化によって、利便性の向上や新しい価値を創造していくことが大切であり、あらゆる分野の基盤にデジタル化を意識し、取り組んでまいります。
DX推進計画を策定し、ノウハウを有する民間人材にも携わってもらいながらデジタル化を進め、産業の活性化やまちの高度化につなげてまいります。
また、スマートフォンで行政手続きがどこからでもできる「手のひら市役所」を目指した取組や、LINEやTwitterなどのSNSによる細かい情報発信にも注力してまいります。
時代の変化にあわせた、各分野の改革
次に、時代の変化にあわせた、各分野の改革について、申し上げます。
まず、教育・子育ての分野です。
今年、市内すべての小・中学生に一人一台のタブレット端末が行き渡り、来年度は、小学校高学年に教科担任制が本格導入されるなど、義務教育は百年に一度の変革期を迎えています。
これらを踏まえ、教育情報化の推進や、よりわかりやすく、質の高い授業を行うなど、子どもたちが未来をたくましく生きていく力を育んでまいります。
また、保育園や幼稚園、それに続く、小学校・中学校の一貫教育を充実させていく中で、さらなる学園化を推進し、特色ある教育につながる小・中学校の再編についても、地域に入って意見を伺うなど、検討を深めてまいります。
子育て支援については、待機児童ゼロを継続していくため、大東大須賀区域の認定こども園化の完結、千羽地内の保育園の開園支援などのハード整備を進めるとともに、保育人材の確保にも積極的に取り組んでまいります。また、かけがわ乳幼児教育未来学会の活動などにより、より質の高い乳幼児教育・保育を推進してまいります。
次に、農業の分野です。
今、農業については、後継者不足や耕作放棄地の拡大など、多くの課題を抱えています。このような課題に対して、生産、流通、販売など、幅広い関係者が知恵を出し合い、若い人が希望をもって参入できる仕組みをつくっていく必要があると考えています。
農地の集約や基盤整備、法人化の支援など、規模拡大や環境整備を進めるとともに、ICTなどの先端技術を活用したイチゴ・トマト・メロンなど施設園芸の推進をしてまいります。
掛川茶では、これまで長年実施してきた広告手法を見直し、人に共感や感動を与える新しい掛川茶リブランディングプロジェクトを予算化しました。さらに、掛川茶振興計画を見直し、より実効性の高い振興策を展開してまいります。
次に、防災の分野です。
私は、東日本大震災による大津波で甚大な被害を受けた被災地の復興に尽力してきました。その経験や最近のデータから、津波や風水害の人的被害を最小限に抑えるためには、避難をすることがたいへん重要となります。
海岸防災林強化事業「掛川潮騒の杜」の整備、橋梁耐震化・長寿命化などのハード整備を進めるとともに、避難の重要性の周知や防災ガイドブックの改定など、ハード・ソフト両面にわたる防災力の向上を図ってまいります。
また、近年、全国各地で豪雨災害による被害が相次いでいます。国や県と連携した河川改修、浚渫に加え、流域全体で水害を軽減させる流域治水にも取り組んでまいります。
次に、環境の分野です。
この分野においては、地球温暖化の防止に向けて、世界レベルでの取組が加速しています。掛川市としても、脱炭素社会の実現にかかる各種計画を見直し、全市レベルの活動を推進していきます。
地域循環共生圏の構築に向け、地域新電力会社「かけがわ報徳パワー」と連動して、再生可能エネルギーの地産地消を推進し、地域課題の解決につなげるなど、SDGs未来都市のモデルとなる取組を推進してまいります。
また、環境資源ギャラリーに代わる、新たな施設整備についても、検討を進めてまいります。
さらには、リニア建設に伴う大井川の水問題について、掛川市は、ほとんどの水を大井川に頼っていることから、JR東海や国に対して、流量の確保と水質の保全を、県や流域市町と連携して求めてまいります。
プロフェッショナル人材の活用
次に、プロフェッショナル人材の活用について、申し上げます。
技術革新や急速なデジタル化によって、様々な領域で新しい動きが生まれてきています。
掛川市においても、デジタルや情報発信などの分野の取組を強化していきたいと考えています。
今後、DX推進と戦略広報について、即戦力として実行力のあるプロフェッショナル人材を民間から募り、そのノウハウも活かしながら、様々な取組に挑戦してまいります。
広域のネットワークを活用した行政運営
次に、広域のネットワークを活用した行政運営について、申し上げます。
市民の生活圏は、広域化しており、近隣市町との連携や協力の重要性が増しています。掛川市の中で、人やモノの流れが完結することは少なく、経営資源を広域で捉え、掛川市が周辺地域とともに発展していけるよう、有効な連携を推進してまいります。
既存の広域組織に加えて、今年、新しく市長となった、磐田市、袋井市、菊川市と掛川市の4人の市長で組織する「4市長の会」を立ち上げて、新しい視点で中東遠地域の広域連携を進めてまいります。
また、「全国青年市長会」に加入し、施策の研究や災害時の相互応援体制を構築してまいります。
終わりに
終わりに、私が政治を志すようになった経験について、述べたいと思います。
今から、まさに10年前。東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市で、私の震災復興の仕事がはじまりました。想像を超える大津波の被害によって、多くの尊い生命、財産が失われました。そのまちで、地元の東北の人たちと力を合わせて、4年間、復興の仕事に尽力してまいりました。
この極限状態のまちでの様々な経験は、私の価値観を変え、政治を志す、また、郷土に戻って掛川市のために尽力していく決意のきっかけとなりました。
二度とあのような災害の悲劇を、どこのまちであっても繰り返してはならない。
生まれ故郷である掛川市のために、市民の生命と財産を守り、より良い掛川市を創っていくために、全身全霊をかけて、市政の舵取りを行ってまいります。
以上、私の市政運営の基本姿勢や所信を述べさせていただきました。
コロナ禍で社会が急速に変化している今、時代に合わせた様々な改革を、多くの皆様と力を合わせて進めて、すべての市民がいきいきと暮らせる掛川市を創ってまいります。
重ねて、市民並びに議員の皆様のご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げまして、市長就任の所信表明といたします。
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